イイネ!クライネ。

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承認欲求。
かつての我々には必要不可欠な概念であった。

その昔ヒトは承認欲求に囚われ、殺し合いが続いた。
俄かには信じられない話だが、この星に「国家」というものが200近くも存在した時代、「SNS」という悪夢のような仮想現実が我々を支配していた。

そこではヒトがその日何を食べたのか、誰に会ってどんな情緒的体験をしたのか、さらにはいかなる詩的情念が湧き、フォトジェニック(死語)なピクスを彼・彼女らと残したのか…という、生産性皆無な報告の数々が、延々と螺旋的に繰り広げられていた。

そのような滑稽で無価値な「私」の発信に対し、ヒトは激しい憎悪を抱いた。誇大妄想的被写フィルタをいくつも通過したその欺瞞的報告に対し、誰もが「イイね!」という信号を送り合っていた。
むろんその意味は、「くたばりやがれ!」。

「私」を演じ承認されたいなど、今の我々には到底理解できない感情だ。
SF
公開:18/08/06 00:31

タネダミツアキ( 東京都 )

28歳。
マイペースに作ります。

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