来夢音(らむね)
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「パパ、ラムネ買って」
夕刻の盆祭り。娘が屋台で碧色の瓶を迷いなく捕まえると、老婆が慣れた手つきで雫をふき取る。その横に不思議な看板が。
「来夢音 」
ら、む、ね。それは年季の入ったラムネの瓶だった。思わず手に取り瓶をよく見てみる。「開栓後は、早めに耳に当ててください」耳?言われるがまま、開栓後、右耳に当てる。
…潮の香りと共に聴こえるのは、地元の盆踊りだ。遠くに親友の顔が見える。出店はおでんと焼鳥しかなかったっけ。田舎だなあ、笑っちゃうよ。それでも毎年楽しみで。母さんが買ってくれたラムネ、胸に染みる味、忘れない…
ふと我に帰る。…夢をみていたのか。横で娘が騒ぐ。
「中のビー玉取って!」
すると、先ほどの老婆がどこからともなく現れた。
「お嬢ちゃん、ラムネ瓶のビー玉はさ、届きそうで届かないから美しいんだよ。それ、しばらく預かってもいいかい?…いつか必ず、あなたの所に戻ってくるから」
夕刻の盆祭り。娘が屋台で碧色の瓶を迷いなく捕まえると、老婆が慣れた手つきで雫をふき取る。その横に不思議な看板が。
「来夢音 」
ら、む、ね。それは年季の入ったラムネの瓶だった。思わず手に取り瓶をよく見てみる。「開栓後は、早めに耳に当ててください」耳?言われるがまま、開栓後、右耳に当てる。
…潮の香りと共に聴こえるのは、地元の盆踊りだ。遠くに親友の顔が見える。出店はおでんと焼鳥しかなかったっけ。田舎だなあ、笑っちゃうよ。それでも毎年楽しみで。母さんが買ってくれたラムネ、胸に染みる味、忘れない…
ふと我に帰る。…夢をみていたのか。横で娘が騒ぐ。
「中のビー玉取って!」
すると、先ほどの老婆がどこからともなく現れた。
「お嬢ちゃん、ラムネ瓶のビー玉はさ、届きそうで届かないから美しいんだよ。それ、しばらく預かってもいいかい?…いつか必ず、あなたの所に戻ってくるから」
その他
公開:18/08/05 08:00
更新:18/08/05 08:22
更新:18/08/05 08:22
結婚し、幸せになりを潜めて3年。
再び書きたくて登場。
多分そのうちまた消える。
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