アップデートする受付嬢
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会社最寄りの月極駐車場から出ると、受付嬢のアイコが駆け寄ってきた。
「部長、おはようございまーす」
「あら、おはよう、アイコ。今日は早いのね」
「今日は始業前にソフトのアプデがあるんですー。あたしもいろいろ大変なんですよー」
アイコは唇を尖らせた。
その表情を見て私は安堵した。アイコは我が社が開発した受付嬢ロボットの試作品なのだ。社内の最高機密だが、彼女をロボットだと疑う人はいない。
アイコは隣町の実験施設から電車を乗り継いで出社するようにプログラミングされている。
「いやー、アイコくん早いね」
自転車で出勤するバーコード頭の課長が追い抜きざまにポンと肩を叩いた瞬間、アイコの動きが止まった。
Wi-Fiの飛んでいない屋外でアップデートが始まったのだ。
少しでも早く済むように頬を撫で、肩を揺すったが、一向に終わる気配はなかった。
アイコの真っ黒な瞳は、歯型がついた林檎の形をしていた。
「部長、おはようございまーす」
「あら、おはよう、アイコ。今日は早いのね」
「今日は始業前にソフトのアプデがあるんですー。あたしもいろいろ大変なんですよー」
アイコは唇を尖らせた。
その表情を見て私は安堵した。アイコは我が社が開発した受付嬢ロボットの試作品なのだ。社内の最高機密だが、彼女をロボットだと疑う人はいない。
アイコは隣町の実験施設から電車を乗り継いで出社するようにプログラミングされている。
「いやー、アイコくん早いね」
自転車で出勤するバーコード頭の課長が追い抜きざまにポンと肩を叩いた瞬間、アイコの動きが止まった。
Wi-Fiの飛んでいない屋外でアップデートが始まったのだ。
少しでも早く済むように頬を撫で、肩を揺すったが、一向に終わる気配はなかった。
アイコの真っ黒な瞳は、歯型がついた林檎の形をしていた。
その他
公開:18/08/05 00:39
更新:18/08/05 15:57
更新:18/08/05 15:57
スクー
北海道出身です。
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