星になった男

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あれは夏の夜のことだった。暗闇を歩いていると、前方から光る物体が近づいてきた。

「な、なんなんだ?」

目の前に現れたのは、スーツを着た禿頭の男だった。

「誰?」
「斎藤だ」

そう言いスーツの上着をパタパタ広げたり閉じたり、そのたびに自分は斎藤だとアピールしてくる。意味がわからない。
パタパタを繰り返すうちに斎藤は蝶のように舞い始めた!
斎藤は、さらに禿頭を輝かせ超高速回転を始めると、ロケット花火のように夏の夜空へと舞い上がっていった。
そして、斎藤は宇宙の果てへと消えていったのだった。

あれはいったいなんなのだったろう。夢か幻か、今でも夜空を見上げるたびに、あの斎藤を思い出す。そして、ひときわ輝くあの星こそ、あの斎藤なのだと……。

なんの話やねん!

「ああ、ダメダメ。お笑い番組見ながら小説書いてるから、こうなるんだ。だから俺はいつまでたってもスターになれないんだよなぁ……」
ファンタジー
公開:18/08/04 17:28
お笑い 斎藤 トレンディエンジェル

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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