悲哀

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嗚呼、愛しき人よ。僕から離れないでくれ。
君はこういう役割を与えられている。
君はこうじゃなくてはならない。
そう書き綴った次の日に、君は現実に現れた。
どうして僕の前に?そう問いた。
「あなたに会いたかったから」
優しい声、微笑んだ表情で、それは僕の心を
撫でるかのようだった。
だが、彼女に優しさという設定を与えたつもりはない。
「どうして僕の」
また尋ねようとした時に、君は僕の首を隠し持っていた万年筆で
ぐさりと刺した。
「不幸にしてくれてありがとう」
その時の彼女も満面の笑みだった。
その他
公開:18/08/04 17:24

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