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僕はプリントアウトした絵を見つめていた。すると、彼女が現れて何か言いたそうな顔でこちらを見る。
「この絵から思いついた小説がおもしろければ、本に載るんだ。そうすれば、きっと僕の才能が認められて、これまでに書いたものだって人気が出て、出版してもらえる」
だが彼女の顔は暗い。
「そうやって、いままでに最後までやり遂げたことがあった? 『これは、自分には向いてなかった』って放り出してばかりだったじゃない」
「今度は大丈夫だよ。400文字以内でいいんだから。それくらいなら作れるさ」
「あなたには、何も分かってない。この絵が朝か夕方か。どんな匂いがしているか。これだけの花を育てるのにどれほどの苦労があるか。何人家族なのか。どれくらいの収入なのか」
うるさいな! いつも邪魔ばかりしやがって!
僕は、プリントアウトした絵を、その絵の中で泣いている彼女ごと、くしゃくしゃと丸めてごみ箱へ放り込んだ。
「この絵から思いついた小説がおもしろければ、本に載るんだ。そうすれば、きっと僕の才能が認められて、これまでに書いたものだって人気が出て、出版してもらえる」
だが彼女の顔は暗い。
「そうやって、いままでに最後までやり遂げたことがあった? 『これは、自分には向いてなかった』って放り出してばかりだったじゃない」
「今度は大丈夫だよ。400文字以内でいいんだから。それくらいなら作れるさ」
「あなたには、何も分かってない。この絵が朝か夕方か。どんな匂いがしているか。これだけの花を育てるのにどれほどの苦労があるか。何人家族なのか。どれくらいの収入なのか」
うるさいな! いつも邪魔ばかりしやがって!
僕は、プリントアウトした絵を、その絵の中で泣いている彼女ごと、くしゃくしゃと丸めてごみ箱へ放り込んだ。
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公開:18/08/04 13:55
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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