予約の後輩くん(5)

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「先輩、ごはんちゃんと食べられました?」
部の定例飲み会の帰り道、同僚の輪から少し離れていた私の隣に、水瀬君は涼しい顔で並んできた。
「ん、まーまー」
私が返すと、水瀬君は満足そうににっこりと笑う。
その素直な笑顔に、私の胸には妙な罪悪感が渦巻いた。
水瀬君が予約申込書を持ってきたのが数日前。
あそこまでされると、さすがにふざけているとは思えなかった。
「今日来て良かったです。二人きりじゃないから、これならセーフですよね」
「セーフって」
「だって先輩、横入り嫌いでしょう? 僕、先輩の嫌いなことはしたくないんです」
水瀬君の透きとおった瞳は、まっすぐ私を見据える。
その瑞々しさが、今の私には眩しかった。
「駅まで送ります。先輩がイヤじゃなければ」
水瀬君の言葉にはいつも迷いがなくて、その度私は心の裏側がむずがゆく落ち着かなくなる。
私はお酒も飲んでいないのに、なんだかとても、熱かった。
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公開:18/08/04 00:19
予約の後輩くん →予約の後輩、水瀬くん 通し番号で交互に進みます

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