「カネのなる木」

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とあるお寺の和尚さんが村の子供たちを集めて何やら配っていました。
「これは『カネのなる木』という木の苗です。十年もすれば立派に育ち、カネがなるでしょう」
「マジかよ!」
「十年後には億万長者だな!」
「よーし、頑張って育てるぞー!」
「そうです。頑張って育てて下さい。あなたたちが清く正しく生きていれば必ず立派に育ちますよ。ただし、悪さなどに手を染めたりすると枯れてしまうかもしれません」

十年後。
村のあちらこちらで鐘の音が鳴り響いていました。そう、カネのなる木とは「金の成る木」ではなく「鐘の鳴る木」だったのです。
どの木も逞しく立派に育っていました。騙されたと文句を言う村人はいないのか、と?
いるはずないじゃないですか。ほら、耳をすませてごらんなさい。この透き通った美しい鐘の音を聞けば、おわかりでしょ。
カネのなる木が立派に育ったように、子供たちもいまや立派な大人になっているのですから。
その他
公開:18/08/03 23:05

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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