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パスタの店「青の洞窟」は初めて入る店だ。青い店内で、久しぶりに逢う父が手を上げた。
「お父さん、僕今日、十五分も遅刻してしまって、すいませんでした」
「いいさ。遅れた分を取り戻すくらい、うんと話をしようじゃないか」
父親は、「青の洞窟」がいかに素晴らしいかを、少年にくどい程語り、青いパスタがくると、フォークを皿に突き立てた。
青いパスタが、青いソースを跳ね飛ばしてフォークに絡まり、待ち切れないかのように、口の中へ滑り込んでいった。
少年は自分の皿を見た。かすかに、パスタの先が震えているように見えた。
「お父さん。このパスタだけど…」
「ああ。うまいぞ。早く食べなさい」
少年は再び皿を見つめた。青いソースの中でパスタはとぐろを巻き始めていた。
「ねえ、お父さん。これ…」
「早く食べないと不味くなってしまうぞ」
目の前の男は青い飛沫を浴びながら、一心に、青いパスタを食べ続けている。
「お父さん、僕今日、十五分も遅刻してしまって、すいませんでした」
「いいさ。遅れた分を取り戻すくらい、うんと話をしようじゃないか」
父親は、「青の洞窟」がいかに素晴らしいかを、少年にくどい程語り、青いパスタがくると、フォークを皿に突き立てた。
青いパスタが、青いソースを跳ね飛ばしてフォークに絡まり、待ち切れないかのように、口の中へ滑り込んでいった。
少年は自分の皿を見た。かすかに、パスタの先が震えているように見えた。
「お父さん。このパスタだけど…」
「ああ。うまいぞ。早く食べなさい」
少年は再び皿を見つめた。青いソースの中でパスタはとぐろを巻き始めていた。
「ねえ、お父さん。これ…」
「早く食べないと不味くなってしまうぞ」
目の前の男は青い飛沫を浴びながら、一心に、青いパスタを食べ続けている。
ホラー
公開:18/08/01 11:54
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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