2つの森
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塗装の剥げたロッキングチェアに座り、水色の窓枠から森を眺めた。老人の目はほとんど見えていなかったが、木々の隙間からこぼれ落ちる暖かな光は感じる事ができた。この森と共に生きてきた。そしてここで朽ちていく。そう考えるのがこの老人の日課であり、そして幸福であった。ゆっくりと立ち上がると、持っていた皿をキッチンのシンクに置いた。左手でテーブルを伝い、洗面所へと向かう。何十年も住んだこの家でなら自分は一人でも生きていける。
シンクからカツンカツンと小さな音がした。一羽の小鳥がシンクの中でお皿に残ったパンくずをつついている。小鳥はパンくずを食べ終えると、バタバタと転がるようにシンクから這い出した。窓から流れた幼い風が小鳥の体をそっと冷やした。右の翼は折れていた。ここに来たのは二ヶ月ほど前だ。厳しい森の中に自分の居場所はもうない。でもここでなら生きていける。小鳥は木漏れ日の中でゆっくりと目を閉じた。
シンクからカツンカツンと小さな音がした。一羽の小鳥がシンクの中でお皿に残ったパンくずをつついている。小鳥はパンくずを食べ終えると、バタバタと転がるようにシンクから這い出した。窓から流れた幼い風が小鳥の体をそっと冷やした。右の翼は折れていた。ここに来たのは二ヶ月ほど前だ。厳しい森の中に自分の居場所はもうない。でもここでなら生きていける。小鳥は木漏れ日の中でゆっくりと目を閉じた。
その他
公開:18/08/01 00:16
更新:18/08/01 00:22
更新:18/08/01 00:22
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