奇妙だが奇妙じゃないかもしれない話

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 奇妙だが奇妙じゃないかもしれない話だ。
 男が墓荒らしで捕まった。墓地にある全ての墓の骨壺を、片っ端からひっくり返したのだ。
 男はなぜ、そんなことをしたのか? 男の供述はこうだ。
「ババアが墓参りくらいしろってうるさいから墓に行った。そしたら、墓の、骨壺が入っている場所から封筒がはみ出していて、5万円入っていた。その金がパチンコに飲まれて、翌日、もしかしたらまた金があるんじゃないかと墓に行ってみたら、やっぱり封筒に5万入っていた。それから、墓地、パチンコ、酒。の繰り返しが始まった。行けば必ず5万あったんだ。でも三か月くらい経って、金が出てこなくなった。俺は、どこかに金があるはずだと、そこらじゅう探してたんだ」
 この金の出所については、銀行の防犯カメラに、父親の生命保険金をATMで下ろしている男の姿が写っていることから、疑問はなかった。
 奇妙だが、奇妙じゃないかもしれない話だ。
ミステリー・推理
公開:18/08/02 15:14

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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