導かれる図書館

私の図書館は小さな町にあり、宿泊可能な図書館です。

論文を書く学生、昇級試験のための会社員、独り物思いにふける女性、そして読破したい書物に出会えた人、そんな方々が宿泊をいたします。

こんな噂を耳にします。
「図書館に宿泊するとその時必然な本に導かれる」と。
その日の宿泊理由を念じながら図書館に入る。閉館後の静まり返った空間。すると身体が誘導され、読むべき本の前に導かれるのだとか。まるで本が私を呼んでいるかのようだ、と。

私も試しに宿泊してみました。その日の気分は「奇妙な体験」。
だってそうでしょう、噂が噂ですから。

静まり返った空間。身体がすーと動き出します。そしてある本の前に。私の視線の先には日本三大奇書の一つ「ドグラマグラ」がありました。まさか当館にあるとは。

精神に異常を感じながらも読破させていただき、まさに「奇妙な体験」でございました。
あなたも当館へ、ぜひ。