愛しき怪物たちの会偶

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その化物は、どこからどこまでが自分の体なのかすらわからない暗闇の中そこに在った。ただ自己という存在を認識するだけの長い、長い時間。

そんな時だ、その化物が来たのは。
その白い奴を認識した瞬間、体の一部が消えたのだ。わけもわからず逃げ出した化物に、その白い化物は努めて優しく音を震わせた。
「驚かすつもりじゃなかったんだ」
他の存在との会偶に驚きつつも、自分の体がどんどん消えていくことに恐怖し、残った闇をかき集めるように縮こまって体を震わせた。
「どうやら僕は君を隠してしまうらしい。 君と遊びたいのに、意地悪だね神様は」
「かみさまって?」
思わず発した唸るような音は存外するりと意味を持つ音となる。
「僕を『光』と名付けたモノの名さ。だから僕は此処に在るんだ。ところで君は誰なんだい?」
さも当然とばかりに話す『光』という化物に、化物は初めて名前を紡いだ。
「ただの化物。ただの闇さ」
その他
公開:18/08/01 20:03

mono

思いつくまま、気の向くまま。
自分の頭の中から文字がこぼれ落ちてしまわないように、キーボードを叩いて整理整頓するのです。

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