ケシカス

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私の机には小さい瓶がたくさんある。風邪薬とかの小さな瓶。きれいに洗って、ラベルはがして、色を塗って使う。中身は見えないようにしている。

その中には丸めて1つにした「ケシカス」が入っている。うす汚れた球体がたくさん。気持ち悪いよね?でも大切なんだ。

自分のだけじゃなくて、友達のも。知り合いのも。隣に居合わせた人のも。
もし消しゴムのカスがあったらすかさず持って帰る。変だよね。

集めて瓶に入れる。何年も溜め込んでる。これから先もそうするつもり。

私が発明した顕微鏡でその「ケシカス」に刻まれた過去が見える。

だいたいはどうでもいい内容。でも中にはあるんだ。

打ち明けられなかった誰かへの想いとか。どうしようもない葛藤とか。償いたい心とか。

だからいつかこれを集めて物語にする。きっと届けなきゃいけない時が来る気がするから。それを誰でもない「誰か」に演じてもらうために。
ファンタジー
公開:18/08/01 13:43
更新:18/08/02 14:58

junsamhyper0521( 東京都 )

脚本・演出の仕事してます。ショートに関しては「白帯」なので頑張ります。
ここからすごい世界が広がるイメージをしてます。
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