クリムト作「北オーストリアの農家」

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農家と知らずにこの作品を見たら,どのような印象を受けるだろうか.

インドラの網に見えないだろうか.インドラとは,古代インドの中心的な神で,仏教に取り入れられて帝釈天と呼ばれるようになった.インドラの網とは,その宮殿に張り巡らされた網のことである.

その網の無数の結び目には宝玉がついていて,その一つひとつが他の一切の宝玉を映し出すという.すなわち,無数の宝玉の一つひとつが宇宙であり,同時にそれらの無数の宝玉の全体が宇宙であるのだ.

身近な対象にも,インドラの網が内在しており,網目の一つひとつの交点には宇宙があり,それらの宇宙の集まりが,より大きな宇宙をともに形成している.

この作品には,そのような宇宙観が潜んでいるのではなかろうか.
ファンタジー
公開:18/08/01 13:03

秋山 知宏( 東京・大阪・アジア・アフリカ・ヨーロッパ )

1978年群⾺県⽣まれ.2007年,名古屋⼤学⼤学院環境学研究科地球環境科学専攻博⼠後期課程修了,博⼠(理学).東京⼤学⼤学院新領域創成科学研究科助教などを経て,現在は上智大学非常勤講師,(非営利)一般財団法人京都フォーラム共働研究員,地球システム・倫理学会評議員など.⼈類は今まさに⽂明的岐路に⽴っているという認識のもと,新しい⽂明的変⾰のために幅広い分野に関⼼をよせて,統合学の構築と実践を⽬指している.主な業績は,「⾃然といのちの尊さについて考える─エコ・フィロソフィとサステイナビリティ学の展開」(2015年,ノンブル社)など.

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