水中花火

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キミと、船底がガラス張りになっている船に乗り込む。
今日はキミの誕生日。
船が着いた先には、僕からのプレゼントがある。

プレゼントは水中花火。
ここで行われる花火は夜空に上がるのではなく、海底から海面に向かって打ち上げる。
それをガラスの船底から覗く。
直接船から海中を覗かないのは、間違って海に落ちないためだ。

船底から見る花火は、夜空に上がるそれと同様に美しい。
さらに海中の揺れが重なって、散った後もゆらゆらと余韻が残る。
まるで万華鏡のようだ。

ガラス越しに覗き見るという行為はなんだか二人だけの秘密を共有しているみたいで、特別な気分になる。
また思い出が増えたね。
しっかりと繋いだ小指と小指。
いつまでもこの指が離れませんように。

いつまでも。。。


あれ?花火の間から人が浮いてくる。
手には山ほどのアワビを抱えている。
「特別サービスです」船長がBBQを始めた。

。。。
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公開:18/07/30 14:36
更新:18/07/30 14:52

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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