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それはどう見ても人でした。あれは木が変にねじれたやつだよと教えられても、私には人間に感じました。顔も首もないんですが、幹は中性的な人間の体幹に似て、細くしなる腕は優雅で。その腕に小鳥が止まって鳴くのを見ると、心が穏やかになる毎日でした。ところがある日ね、チェンソーを持った男がやってきたんです。家を建てるから切るのだとか。私は中止を懇願しましたが、止む無く切られました。後味が悪いから挿し木にしろと譲られたのは、其れの左腕でした。速やかに鉢に入れてやり、日当たりの良いところに置いてやりました。その時気がつきましたよ、影がさながら本当の腕のようだ。私はその手に右手を重ねました。もう誰にも傷つけさせないと、誓いを込めて。
すると、其れは大輪の花を咲かせて、大きな実がなりました。雛のようにパリパリと音を立てて出てきたのは子どもでした。翠の目、影色の髪。先生、私の自慢の子です。かわいいでしょう。
すると、其れは大輪の花を咲かせて、大きな実がなりました。雛のようにパリパリと音を立てて出てきたのは子どもでした。翠の目、影色の髪。先生、私の自慢の子です。かわいいでしょう。
その他
公開:18/07/30 11:26
更新:18/07/31 07:53
更新:18/07/31 07:53
『木陰の奇跡』
健診と称し追加調査実施
幻想動物見物録
未だ発話せず
400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。
無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz
『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。
写真は全て自前でやっています(笑)
こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705 - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)
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