二つに一つ

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「お兄ちゃん、またお願い」
「はーい」
弟は朝、なかなか起きてこないから僕が呼びに行く。
僕たちは二人で一つの部屋を使っている。部屋には布団が二つ。
布団の上には毛布の塊が二つ、僕の布団と弟の布団のそれぞれにあった。
毎日のことだ。片方には弟が入っていて、片方には「きょむ」ってやつが入っている。お父さんが教えてくれた。
「虚無には気をつけなさい。開けてはいけないよ。開けたら君は消えてしまう」
僕は毛布にダイブした。もしそれが「きょむ」ならこれで潰れるし、弟なら潰れないはず。
弟の布団の毛布は潰れなかった。ならば弟はこっち。
だけど一応、僕の布団の毛布にもダイブ。
潰れない。じゃあ弟はこっち?
わからないから、とりあえず弟の方の毛布をめくった。
「お兄ちゃん!ありがとう!」
この時になぜか弟は泣くし、もう片方の毛布は潰れる。
「きょむ」ってなんなのだろうね。
大人になればわかるのかな。
青春
公開:18/07/30 02:39
更新:18/07/30 11:08

sakana

ショートショート好きです
学生やってます。

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