涼しくなる演奏

8
40

「ちょっとこれ、見て」曲の練習の合間に、サエコが、ギターの弦をとり出した。「アニキが作ってるんだけど」 
「サエコのお兄さんって、大手楽器メーカー『ハマヤ』に勤めてる?」「うん。これ試作品だって。試してみてよ」
サエコは続ける。「これで演奏すると、曲の世界の雰囲気が、その部屋に出るんだって」目を丸くするリンコ。「ホント?やってみよう」
弦を張り替えて彼女はつまびく。すると蒸し暑かった室内が、ヒンヤリと涼しくなった。「うわー、スゴイ」「その曲、“さらばシベリア鉄道”だね」2人はうなずいた。
「じゃ、次は私の曲『クール・ガイ』」。またクールな風が室内に。そのうち、でも次第に猛烈に暑くなってきた。ノートや楽譜でバタバタあおいで、サエコが言った。「その曲、歌詞がまずいよ」「そっか!歌詞も歌の一部だからね」リンコは曲のサビの歌詞をつぶやく。
♪いつでも貴方は、クール・ガイ 私のココロは、燃えている♪
ファンタジー
公開:18/07/28 11:36
更新:19/02/17 00:50
バンド

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容