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あの予約宣言から一週間。
水瀬君は、全くもって普段通りだった。
横入りは嫌いか、とか意味不明な質問はしてくるものの、態度はいたって普通といえる。
結局あれは、なにかの冗談だったのかもしれない。
離れたデスクから、今日も平然とデスクに向かう水瀬君を恨めしい気持ちで眺める。と、ふいに水瀬君がこちらに向かってきた。
「先輩」
無意識にビクリと肩が跳ねる。
「あの、判子をお願いしたいんですけど」
「へ?」
仕事の話か。勝手に身構えてしまった自分が恥ずかしい。
けれど。
「なにこれ」
水瀬君の差し出した用紙は、仕事の書類ではなかった。
「こういうことは、ちゃんとしておいた方がいいと聞いたので」
用紙には予約申込書と題がつき、彼の名前が記されていた。この前のことを書面にしたものらしい。
さらに水瀬君は困惑する私を気にもとめず私の小指を小指で絡めとると、またあのなにかを擽る笑顔を、私へと向けたのだった。
水瀬君は、全くもって普段通りだった。
横入りは嫌いか、とか意味不明な質問はしてくるものの、態度はいたって普通といえる。
結局あれは、なにかの冗談だったのかもしれない。
離れたデスクから、今日も平然とデスクに向かう水瀬君を恨めしい気持ちで眺める。と、ふいに水瀬君がこちらに向かってきた。
「先輩」
無意識にビクリと肩が跳ねる。
「あの、判子をお願いしたいんですけど」
「へ?」
仕事の話か。勝手に身構えてしまった自分が恥ずかしい。
けれど。
「なにこれ」
水瀬君の差し出した用紙は、仕事の書類ではなかった。
「こういうことは、ちゃんとしておいた方がいいと聞いたので」
用紙には予約申込書と題がつき、彼の名前が記されていた。この前のことを書面にしたものらしい。
さらに水瀬君は困惑する私を気にもとめず私の小指を小指で絡めとると、またあのなにかを擽る笑顔を、私へと向けたのだった。
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公開:18/07/28 01:03
予約の後輩くん
→予約の後輩、水瀬くん
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高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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