心の薬屋
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バーで飲んでいると、男に話しかけられた。
「浮かない顔ですね」
「…あなたは?」
男は隣に座った。
「心の薬屋です。話、聞かせて下さい」
胡散臭いと思いながらも5杯目のグラスが口を滑らかにする。
「昨日彼女と別れたんです。僕は会社員だったんですが」
「ほう」
「夢を叶える為に辞めたんです。そしたら振られて。僕もバカですけど、ひどい女ですよ」
「これをどうぞ」
勢いで男が出した錠剤を飲むと、気持ちが楽になった。
「…これは?」
「その薬の成分はあの方に頂いた愛情です」
振り返ると、そこには昨日まで愛した人が立っていた。
「どうして君が?」
「私はね、会社を辞めたから離れたんじゃないの。夢があるなら言って欲しかった。信じて欲しかった。バカよあなたは」
薬屋は立ち上がった。
「待って下さい。あなたは一体?」
「ただの薬屋です。確かにお渡ししましたよ。世界に一人だけの、あなたというバカにつける薬」
「浮かない顔ですね」
「…あなたは?」
男は隣に座った。
「心の薬屋です。話、聞かせて下さい」
胡散臭いと思いながらも5杯目のグラスが口を滑らかにする。
「昨日彼女と別れたんです。僕は会社員だったんですが」
「ほう」
「夢を叶える為に辞めたんです。そしたら振られて。僕もバカですけど、ひどい女ですよ」
「これをどうぞ」
勢いで男が出した錠剤を飲むと、気持ちが楽になった。
「…これは?」
「その薬の成分はあの方に頂いた愛情です」
振り返ると、そこには昨日まで愛した人が立っていた。
「どうして君が?」
「私はね、会社を辞めたから離れたんじゃないの。夢があるなら言って欲しかった。信じて欲しかった。バカよあなたは」
薬屋は立ち上がった。
「待って下さい。あなたは一体?」
「ただの薬屋です。確かにお渡ししましたよ。世界に一人だけの、あなたというバカにつける薬」
その他
公開:18/07/29 23:07
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