予約の後輩、水瀬くん(4)

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予約を申し入れてから、なんだか先輩が変だ。
いつもどこかそわそわしているし、僕ともあまり目を合わせない。
もしかしたら実は他にも予約があったのかなとか、誰かに横入りされたのかなとも思ったけれど、先輩は横入りは嫌いだというし、態度を見る限りどうにも違うらしかった。
あれこれと考えた結果、僕は一つの可能性に辿り着いた。
きっと、予約の仕方が間違っていたのだ。
先輩に予約を申し入れたことに安心しきっていた僕は、口約束なんていう不確かなものに胡座をかいていた。こんなんじゃ、不誠実に思われても仕方がない。
僕はすぐに予約申込書を作成して署名をすると、それを通勤用鞄へと潜り込ませた。
ふう、と一つ息をはいて、目を瞑る。
遅くなってしまったけれど、先輩は僕を見放さずにいてくれるだろうか。
想うと、ふわりと笑う先輩の姿が浮かんだ。
僕は目蓋の裏で微笑むその手を取って、白く細い先輩の小指へ、そっと口づけた。
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公開:18/07/29 22:58
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