場所

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 僕たちは結局どこにも行けなかった。強く思い描いて、行けた場所は窓からの景色だけだ。童話のような庭は意外にも鮮明だった。もうずっと誰もいない。何かが出てくることを期待したけど、期待は何も起こさなかった。このモチーフは一体何なのだろう。このイメージは僕たちに何を示しているのだろう。何かがわかりそうだったけれど、それ以上は物理的に考えられないようになっているようだった。
 不思議なことは何年も続くと不思議ではなかった。花は綺麗だけれど何年も続くとそれは綺麗でもなく、木々は勇敢に佇んでいるけれど、何年も続くとそれは勇敢でもないのと同じだ。ただ、不思議なことが一つだけある。ひとかけらも見逃さないように眺めていたものは、何度も繰り返しているのに、僕たちだけは老いていた。僕たちだけは置いていかれた。気付いた瞬間、窓がぎこちなく動いたように思えた。
その他
公開:18/07/29 22:46
更新:18/08/10 09:17

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