そうと思って用意をしてた

0
56

目を覚ますと窓が開けっぱなしで、しらじらと月から風が吹いていて、これはもう月夜詐欺だと思った。いつから月の光も熱を持つように?俺知らないよ?そんな驚きいらないよ?夜を泳ぐ魚も茹で上がるレベルでしょこれ?枕元のスマホを引っ張り出して、時間を見て、やっぱり嘘だって虚しく内心で呟いて、あいつに電話をするのは……ちょっと迷う。暑くても夜には違いないから、起きてるとは思うけど。
『起きてるか?』
「ひょわ?!」
『何の声だよ』
機械の向こうで低い声は笑っている。機嫌が良さそうで何よりだ。
「…電話しようと思ってスマホ持ってたから」
『こんな夜更けに何の用だ』
「あつくてねれねえおきた」
『窓は?』
「全開。この時間にこの暑さっておかしくね?ここ北だよ?いま夜だよ?」
『わかった落ち着け。とっておきの夜を見繕って持ってってやる。道歩いてく気しねえな…窓開けて待ってろ』
「…うん。ありがと」
『…ハッ』
青春
公開:18/07/29 22:37
更新:18/08/12 15:00

cross_winter

こちらとあちらをふらふらする辺境歩き、感受性お化けです。SAN値は直葬されています。
雪が好きです。夏は夜ではないと生きられません。にゃあ。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容