海色ラムネソーダ

今日はにいちゃんが海に連れてくれる。隣のマキちゃんも一緒に、初めて電車に乗った。カラッと晴れた青空にジリジリ焼かれながら、鈍行でゴトゴト揺られて行く。ついに到着すると、どこまでも広がる青い海に、ぼくはもう興奮が止められなかった。

タンクトップと短パンで水を掛け合うぼくたち兄弟を、マキちゃんが笑って見てる。汗ばんで透けた制服の下のシャツは、ちょっとエロい。何見てんだ、とにいちゃんに叩かれた。

疲れたぼくに、マキちゃんがラムネを買ってくれた。白い泡は波みたいで、まるで海色ラムネソーダだ。ガラス玉を舌でどかすと、空を仰いでゴクゴク飲む。しゅわしゅわとした感触が、五臓六腑に駆け巡る。
ガラス玉に移る世界は全てが逆さまだ。そのまま冒険家のように辺りを見回す。すると、にいちゃんとマキちゃんが見えた。
二人は、松の木の下でキスしてた。
やったー！大発見だ！
ぼくは身を乗り出しすぎて、椅子から落ちた。