君と僕のプライベートビーチ

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妻に先立たれ独り身になった僕は、観賞用に中古の小さな海を購入し、庭にプライベートビーチを作った。二人で暮らしたこの家で、波の音を聞きながら余生を送りたかった。波が還っていく先は、どこかの海に続いているらしい。

ある日、波打ち際にキラキラと輝く透明なガラス瓶が流れ着いていた。中には宛先も差出人も書かれていない手紙が入っており、子供の文字で小さな悩みが綴られていた。好奇心から、僕も名前を書かずに励ましの言葉を綴り、ビンにいれて海へ流した。数日後に返事が届き、遣り取りは暫く続いた。

そしてある日、これが最後と書かれた手紙が届いた。明日、海辺の街から引っ越す事、相談に乗ってくれた事への感謝、そして、60年前の日付と送り主の名前が綴られていた。

名前を見て、僕はあまりの結末に大声で笑ってしまった。そして、海辺の街で生まれた最愛の妻の子供時代に想いを馳せながら、いつまでも波の音を聞いていた。
ファンタジー
公開:18/05/17 16:12
更新:18/05/17 20:29

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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