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一体、実歩はどうしてしまったんだろう。優しくて柔らかくて大好きだったのに、最近は妙に笑顔がぎすぎすしている。何か無理をしているんじゃないか。心配して声をかけると、そんなことないよと言う。むしろ今が本当の私なんだわ。そう続けた実歩の目は、僕より遠くを見たまま動かなかった。瞬間、どうしようもない喪失感が襲いかかる。何かが明らかに変わってしまったという根拠のない実感。そのせいで僕は何も言えなかった。僕が好きだった実歩。本当じゃないなんて嘘だろう。きっと、実歩は一時的にどうかしてしまっているだけなのだ。それでもこの先、彼女の目が僕を見つめることはない。おそらくもう二度と。
「またね」の挨拶が「バイバイ」になった。淡いパステルカラーがよく似合っていたのに、はっきりしたブルーやオレンジのワンピースを着るようになった。それよりもっと前にあったはずの、彼女の小さなサインの連続。気づけなかったのは、僕。
「またね」の挨拶が「バイバイ」になった。淡いパステルカラーがよく似合っていたのに、はっきりしたブルーやオレンジのワンピースを着るようになった。それよりもっと前にあったはずの、彼女の小さなサインの連続。気づけなかったのは、僕。
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公開:18/05/18 18:05
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