海坊主と海の家

「おう、坊主どした。迷子か？」
「おじちゃん、あのフワフワした雲は何？」
「あれは綿あめだな。食うか？」
「うん！」
「どうだ？うまいか？」
「思ってたんと違う。もういらない」
「さしみにするぞ」
「あの茶色くて長いのは？」
「焼きそばだな。上手いぞ」
「ミミズみたい」
「やめろ、営業妨害だ」
「そのキラキラしたのは？」
「かき氷だ。ほれ、食べてみろ」
「雪みたい！好き！」
「こんなのはどうだ？」
「おいしい！イカが焼かれたの初めて！」
「ぼうや！ぼうや！ここにいたの」
「あ、お母さん」
「すみません、よくしていただいて」
「私が悪人じゃなくてよかったですね。人間は危ないからお気をつけて」
「ありがとうございます、ではさようなら」
「はい、さようなら」
「おじちゃんまたね！」
「もう二度とくるな！」

そう言って、クジラの親子は海に戻っていきました。