日当たりの良い座敷童

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『そういうものだと思っていたんです』
座敷童が話し始めた。日当たりの良い、旅館の縁側。おかっぱ頭にサンバイザーをかぶり、サングラスをかけている。
『ずっと座敷の中だけにいたので、太陽の光に慣れていないんです』
少しはにかみながら、静かに話し出す。

『みんなが私を【座敷童】と呼ぶので、座敷から出てはいけないと思っていたんです』
『ある日、外国人の子供が泊りに来た時、しばらく彼女と遊びました』
『言葉は通じませんでしたが、二人でお手玉をしたりおはじきをしたり。それは楽しい時間でした』
『帰り際、彼女が何か言ったんです。でも私には意味が解りませんでした』
『それから、外国語を勉強したり、政治の本を読んだりしました。その中で女性の社会進出が話題になっていて、それで私も座敷から出てみようかって思ったんです』

『少し日焼けもしてみようかしら』
そういって彼女は着物を脱ぎ、タンクトップになった。
その他
公開:18/05/18 14:51
不思議な言葉 スクー

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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