学校の怪段

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高台にある学校へは、九十九段しかないこの階段をのぼって行く。
学校の七不思議のひとつに、数えながら階段をのぼって行くとちょうど百段になることがあり、数え終えると神隠しに逢うという話がある⋯⋯。
私はそんなの気にしない。いつもこの階段を数えながらのぼってるけど、何度数えても九十九段しかないし。よくある作り話だよ。
「ほら今日もちゃーんと、九十六、九十七、九十八、あれれ、九十九?」
もう一段ある⋯⋯。
「あははは。きっとどこかで数え間違えたのね」
いや、ちゃんと数えてのぼった。私は不吉なものを感じ、あと戻りしようと後ろを向くと、頂上の百段目の方から明らかに人間ではない、野太い声が聞こえた。
「イヤ、カゾエ マチガッテ ナイヨ⋯⋯」

ぞっとして前を向いた。誰も居なかった。
そして、九十九段目に居たはずの私は、いつの間にか頂上に着いていた。
やっぱり最初から「百段目」なんてなかったんだわ──。
ホラー
公開:18/05/16 17:49
更新:18/09/17 15:42

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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