履物連鎖

15
166

「埃っぽいよ、ごほごほ」
ここはある靴箱の最下層。忘れられた靴達のスラムだ。彼らはよく上を見上げた。そこは上層のVIPと呼ばれるエリア。ブランド品や、デザイン性や履心地の良い靴達が何不自由なく暮らしている。

ある時、スラムの使い古しの紐靴が上層へと旅立った。再び、表舞台に立つためだ。旅の途中、ブーツにぶつぶつ言われ、サンダルに薄っぺらいと侮辱され、靴ベラにべらべら噂を流され笑われた。それでも、歩を進めた。最上層までもう少しのところ、ピンヒールが踏んづけてきた。
「ボロ靴が夢見るんじゃないわよ」
蹴落とされた紐靴はまっ逆さま。覚悟を決めかけたその時、色違いの紐靴が紐を差し伸べた。
「あなたのソールを死なせない!」

「この組み合わせ、かわいい」
突如、現れた主は紐で結ばれた二足を手にし、履いた。
「明日、靴箱の掃除しようっと」
普段むれるのを嫌がる靴達も、その日は朝まで踊り明かしたらしい。
ファンタジー
公開:18/05/16 00:35

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7

・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか) 
https://amzn.asia/d/iW14MdM

ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容