一瞬のぞける

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気がつくと、知らない家の中にいた。本当にはっと気づくとそこに居て、こんな時に変だけど、私は驚きすぎると声は出ず前歯が出るんだなと思っていた。

よく見ると、その部屋はうちと同じ間取りだった。もしかしたら、これは隣の部屋なのかもしれない。間違って隣の家に入ってしまって、それで電気をつけて…?思うや否や、急いで外に走り出た。しかし扉には

「303」私の部屋である。

扉の前で動けずにいると、隣人が帰ってきて隣の部屋へ消えていった。私も今出てきた部屋へ戻ると、そこは紛れもなく自分の部屋だった。

ふと、ソファの上の見慣れないカバンに気づく。中を覗くと隣人の社員証が見えた。驚いて手を離すとそれは私のカバンに変わっていた。

もしかして、隣人の何かを一瞬だけのぞけてしまっているのではないか。

私はふと自分の左胸に手を当てようとして、やめた。

人の心など知らない方が絶対によいのだと言い聞かせた。
公開:18/05/16 23:42

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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