数の水平線

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夕日の差し込むうす暗い図書館。少年は独り、素数について考えている。

1と自分自身でしか割り切れない数。

 2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、……

素数は永遠に続くのだろうか? 素数の並びに規則はあるのか?

少年は π について考えている。

果てしなく続く数字の並び。

 π=3.1415926535897932384626433832795028841971……

この列の先に何があるのか? 無理数は全部でいくつあるのか?

少年は虚数について考えている。

2乗して-1になる、i という名の不思議な存在。

 i × i =-1
 
なぜ2回掛けてマイナスになるのか? 虚数はこの世に存在するのか?

少年はこうして今日も数の海を泳ぐ。

その広大な宇宙を。その無限の広がりを。

そしていつかその水平線に、たどり着きたいと思っている。
ファンタジー
公開:18/05/16 20:22
更新:18/05/16 21:16
数学 算数

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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