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子供の頃から、自分の右頬に大きく広がる赤いアザがコンプレックスだった。どんな人も私と会話をすると、必ずといっていいほど視線を右頬へ向ける。それが堪らなかった。
だからいつも顔を隠した。それなのに。
「小柳さんの顔、初めてちゃんと見たかも」
バイトの休憩中、取り替えようとマスクを外したのが間違いだった。
同じシフトの木村くんが、珍しげに私の顔を覗き込んだ。きっとアザを見ているのだろう。私は堪らず、伏せていた目線を左へ外した。
するとどういうわけか、木村くんの視線は左に逸らした私の目を追ってきた。
アザのない左頬側で、視線がかち合う。
「小柳さんの瞳って、コーラの飴玉みたいだね。色素が薄くて、きれい」
そう言って木村くんは、しげしげと私の瞳を覗き込む。思わず正面に向き直っても、赤いアザがさらに赤くなっても、彼の瞳は飴玉の瞳孔を見つめていた。
しゅわり、と、瞳のコーラが音をたてた気がした。
だからいつも顔を隠した。それなのに。
「小柳さんの顔、初めてちゃんと見たかも」
バイトの休憩中、取り替えようとマスクを外したのが間違いだった。
同じシフトの木村くんが、珍しげに私の顔を覗き込んだ。きっとアザを見ているのだろう。私は堪らず、伏せていた目線を左へ外した。
するとどういうわけか、木村くんの視線は左に逸らした私の目を追ってきた。
アザのない左頬側で、視線がかち合う。
「小柳さんの瞳って、コーラの飴玉みたいだね。色素が薄くて、きれい」
そう言って木村くんは、しげしげと私の瞳を覗き込む。思わず正面に向き直っても、赤いアザがさらに赤くなっても、彼の瞳は飴玉の瞳孔を見つめていた。
しゅわり、と、瞳のコーラが音をたてた気がした。
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公開:18/05/14 23:03
更新:18/05/15 20:49
更新:18/05/15 20:49
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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