0
127
私は海のお城に住んでいる。昔、溺れて底についたところをタツノオトシゴが助けてくれたのだ。これは海に住んでみて初めてわかったことだけれど、人間と自然の関係はいつも海の状態に反映されている。そのことに気づいていないのは人間だけだ。私も地上で生活していた頃は「海は大きいな〜」などと陽気に歌っていたのだから、他人様のことは言えない。それでも、体調が日に日に悪化していく海の神様を目の前で見ているのはとても苦しい。ごめんなさいと念じたところで仕方がないのだ。もしも今地上に戻れたなら、私は自分にできることを全力でやる。気づいてって声を上げて、仲間を募って、また自然と手を繋げるように、どんなに小さくても。人間は可能性の塊で、だからそれは使い方次第で嬉しいにも悲しいにもなるってことを知ってほしかったんだよ。だから私は人間の友達がほしいの。ねえ、お願い、私を地上に連れ戻してよ。海に溺れて。
ホラー
公開:18/05/14 15:29
更新:18/05/14 15:30
更新:18/05/14 15:30
小説
短編
ショートショート
一話完結
400字物語
400字のことばを紡ぎます。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます