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「俺ら友達だろ、これを受け取ってくれよ」

ある日友人が1体の招き猫を持ってやって来た。
「ただの贈り物だ。金も要らない」
友人はそう言って、半ば押し付けるように俺に招き猫をくれた。
その日、夢に招き猫が現れた。
そいつは身動きの出来ない俺を爪でずっと引っ掻いた。目が覚めるまでずっと。
それが1日だけならただの悪夢で済んだ。
だがそれは次の日も、また次の日も続いた。
俺は寝ることが怖くなった。招き猫も怖くなった。
「もしかしてアイツもこれを…」
友人に電話をかけてみるも電話は繋がらなかった。やはりそうか。
俺は招き猫を捨てることにした。
持ち上らない?
招き猫はどうあっても動かなかった。
そこで思いついた。俺も誰かに招き猫を押し付ければいいのだ。
そう思った途端、招き猫は軽くなった。
俺は近くに住む別の友人の家を訪ねた。

「俺ら友達だろ、これを受け取ってくれよ」

と、招き猫を持って。
公開:18/05/15 18:40
更新:18/05/16 18:16

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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