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イラっとした時の「カチン」という神経に何かが触れて着火するあの瞬間に宝石のような尖った石が出ると気づいたのはもうずいぶん小さい頃からだった。目や鼻や口からでるのではない、カチンと感じたら足元にキラリと光る石が落ちているのだ。

最近、そのカチンを買い取るという企業が現れ大々的広告を出した事で、世の中に潜んでいたカチンが出せる人たちが次々と名乗り出るようになった。今まで誰にも言わなかったおかしな出来事も、たくさんの仲間がいて、かつ、お金になる価値があると言われると「特別」の意味が180度ひっくり返った気がした。

ずっとこんな気持ちで生きて行けたらどんなに素晴らしいだろう。だけどそれは叶わない。イラっとしてカチンが出るからこそ、この特別感を味わう事ができるのだ。イラッとしたら幸せだなんて…気づくと足元にはモヤモヤが綿になってツヤツヤと膨らんでいた。何て事だ、これは…




売れる。
公開:18/05/12 01:00

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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