氷雨(こおりあめ)

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氷雨を知っているだろうか。ひさめではない。こおりあめ。
雨の雫の形で凍ったものが降ってくる。そして何かに触れた瞬間、とけてしまう。とけるとき、小さな虹を灯す。それも一瞬のことだ。

氷雨を保存して、好きなときに虹を発生させられないだろうか。研究者たちは氷雨を入れる小さな冷凍庫を開発した。外から氷雨が見えるよう、スケルトン化した超ミニ冷凍庫だ。その冷凍庫を動かすための超マイクロスケルトン電池も開発された。

しかし一つだけ解決できない問題があった。氷雨が冷凍庫に触れた瞬間、とけてしまうのだ。触れる前になんとか冷凍できないか。長年研究したが成果が出ない。そして、気が付いた。

ミニ虹発生装置を作った方が早くね?

好きなときに虹を発生させられる装置が開発された。超小型にしたので、マスコット代わりに鞄にぶら下げられる。装置は大ヒットした。


それでも、氷雨は今もどこかで小さな虹を灯している。
ファンタジー
公開:18/05/14 07:36

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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