シーガレット

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扉を開けると、そこはハワイだった。

ふらっと入った煙草屋。店の中なのに強く穏やかな陽射し、ゆったりとした風、心地よく熱いビーチ、そして煌めく青い海。
「いらっしゃいませ」
ヤシの木にもたれた老人が吸っていた煙草を消すと、元の店内に戻った。
「これはいったい・・・?」
「乾燥させた海藻を巻いた物で、煙を嗅いだ人はその景色を体感できるのですよ」
パッケージには『Seagarette』の表記。半信半疑のまま、店内に漂う潮の香りに誘われるように一つ購入した。手軽に楽しむにはもってこいだ。
ふと、黒いパッケージの物が目に入った。
「あれは滅多に取れないので、先程の200倍の値段になります」
「200倍?ならきっと天国の心地がするんでしょうね」
すると店主はハハハと笑った。
「確かに。きちんと装備しないと吸ったとたんにぺちゃんこになりますから」
よく見ると『深海(水深200m以上)』と書いてあった。
ファンタジー
公開:18/05/13 23:50
更新:18/05/14 07:09

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