のっぽのだいだい

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僕はみうちゃんのクレヨンのだいだいだ。
みうちゃんはお絵かきが大好きで、幼稚園ではいつもお絵かきをしている。

突然だけど僕はのっぽだ。そしてそれは僕のコンプレックスだ。のっぽのクレヨンは、使われてない証拠だから。同僚のももいろは、箱の中で一番小柄になってしまったけど、とても誇らしげだ。ももいろが羨ましい。みうちゃんはだいだいが好きじゃないのかもしれないって考えると悲しくなった。

幼稚園で夏休みの思い出を絵に描くことになった。みうちゃんは海水浴のことを描くらしい。
海。あおならともかく、だいだいなんか使われない。僕はのっぽのままだ。

ところが、みうちゃんはひょいと僕を掴み、しろい画用紙に塗り始めた。僕は2センチくらい縮んで箱に戻された。

「泳ぐのも楽しかったんだけど、夕方にね、帰るときの海がとてもきれいだったの」

海も空もみんなだいだい色だった。
嬉しくてももいろになりそうだった。
その他
公開:18/05/10 19:00
更新:18/05/10 16:18

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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