待っていた、気がした

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何故か溢れ出てくる涙を流したまま、少女はとある山奥の更地に立っていた。

「そろそろ行こうか」

掛けられた声に振り返り、後ろ髪引かれる思いでその地を後にしようとする。

差し伸べられた手を取り、柔らかく握る。

ああ、あたたかい。

あたたかくて、そのぬくもりがどうしてか懐かしくて、涙が止まらない。

「大丈夫だよ」

ハンカチを差し出し、彼は微笑む。

「僕は今も君を好きでいるから」

その言葉を長い間、待っていたような気がした。
SF
公開:18/05/11 10:30

きざはし

140字小説を書いています。
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