フィギュア助っ人

ＡＩを搭載した精巧なフィギュア、「フィギュア助っ人」を買った。
小さいながらも「彼」は美形で礼儀正しい執事型。仕事の愚痴に対しても、「確かに……ですね」などと肯定してから、静かに慰め、諌めてくれる。

ある日、ベランダで「彼」を太陽光充電したまま私は出かけ、帰りが遅くなった。
天気の急変で長く風雨に晒された「彼」は、意味不明なことを口走るようになった。「竜宮城をお持ちしますか？」などだ。
それがヒントになり、私は入社十年を前に、初めてヒット商品を生み出せた。

とはいえ。
私は休日返上で「彼」の修理先を探した。
製造元は数年前に倒産、ほかの所でも皆、修理完了直前に「彼」に再び不具合が出た。
さらに私は婚約者と喧嘩し、彼にふられた。


が、後日、元婚約者は猟奇的な犯罪の容疑で逮捕された。

助けてくれてありがとう、と言うと、「彼」は「良き人生を」と私の目を見、もう何をしても動かなくなった。