晴れの海

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「私達の住む星は水の星だったのよ」
ママは囁いた。今日はおはなしの日だ。僕はママにすり寄った。
「むかしむかし、この星は柔らかい水というものに覆われていたわ。水を海、盛り上がった地を陸と呼んで、小さな陸で祖先は幸せに暮らしてた」
「そせん?」
お母さんのお父さんの、お父さんたち、とママは言う。
「だけど、祖先の数が増えすぎて陸にみんな住めなくなった。そこで半分は海に住む事になった。陸の祖先は別れを悲しみ、涙した。その時、海は涙と共に宙に浮きあがり、この月には陸だけが残った」

僕は驚く。
「僕ら海に住んでいるんじゃないの」
「海は陸の名前になったの。ここ、晴れの海は海だった」
ママの赤く丸い瞳が、遠く、青い星を見つめる。
「海は星になった。今はあそこが水の星」
「じゃあ、海に住んだ祖先達もあそこにいるのかな。あそこにも僕らみたいなうさぎがいるかな?」
そうね、きっといるわ、とママは笑った。
ファンタジー
公開:18/05/08 23:37

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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