続いていく銀色

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満月に照らされると、暗い海の上に銀色の道ができる。
「前の晩に月の光を十分に浴びれば、この道の上を歩けるんだよ」
小さい頃、窓辺で夜の海を眺めながら祖母が話してくれた。
歩いて向かいの島にたどり着ければ願い事がかなう。たどり着けないと魚になってしまう。

私は、人生の節目節目で何度か銀色の道を渡った。
道はいつも、盛り上がり揺れながらずっと続いていた。無数の魚たちの体が月光を反射し、道の銀色をより輝かせる。魚たちがボシャボシャ跳ねる音が聞こえ、しぶきが飛んできた。

孫が生まれた頃、私は久々に銀色の道を渡ろうとした。けれども途中で海に落ち、祖母の言葉どおり魚になった。

長い年月が過ぎた。
一人の若い女が、今、私や同じ境遇の魚たちの体を踏み越え、銀色の道を進んでいった。
浮きつもぐりつ見守る。
彼女はしっかりとした足取りで道を渡り切り、島の土を踏んだ。

私の最後の願いもかなったのだった。
ファンタジー
公開:18/05/08 22:03
更新:18/05/31 20:35

UKITABI

ショートショート初心者です。
作品をたくさん書けるようになりたいです。

「潮目が変わって」(プチコン 海:優秀作)
「七夕サプライズ」(七夕ショートショートコンテスト:入選)
「最高の福利厚生」(働きたい会社 ショートショートコンテスト:入選)
選出いただきました。

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