筋肉壁

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私は筋肉があまり好きじゃない。
手を繋いだとしても抱き合ったとしても彼と私の間に筋肉が邪魔をしているようにいつも思う。

彼はガリガリだった。骨ばった手に触れることが私の幸せだった。

でも彼はガリガリが嫌でジムに通っていた。
私の理想から少しずつ離れていくのが怖くて夜な夜な彼の筋肉にストローをさして筋肉を吸っていた。

ある日彼に会ったら筋肉で一回り大きくなっていた。私は泣きそうになった。
近づきたかったけど筋肉が邪魔をしているようで怖くて私は勢いよくストローをさして吸った。彼は泣いていた。気づいていたのかもしれない。でも無我夢中で吸った。今までになく細くなっていて怖かったけど筋肉がある彼の方が怖くて吸うことをやめられなかった。
気づけば骨だけがそこに残されていた。

私はこの事を忘れないようにその骨にチェーンをつけネックレスにしている。
今が一番近くに感じられて嬉しい。
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公開:18/05/08 14:37

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