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ちゃぷ。ちゃぷ。ざ、ざ、ざぁー……。
白く丸い月。黒い海。
俺は小さな船を漕ぎ出し、独り夜釣りを楽しんでいた。
ふと、波間に仄白く光る海月が二匹揺蕩っているのが見えた。
──否。それは仰向けに漂う女の白い乳房であった。
臍から下は海に潜っている。目も口もぽかりと開いたままである。水死体にしては美しい。気を失っているのなら、助けないと──。
ゆっくりと女に船を近づけ「可哀想に」と独り言た。
手首を掴んだ刹那、女の眼がキロリと動き、俺を射抜いた。
ギョッとして思わず手を離したが、女は身を翻し俺の両肩をぐい。と掴んだ。
そうして口をパクパクと動かし、何事かを告げると、にぃっと嗤い、弾けるように海中へ潜って行った。
女の下半身は、魚のようであった。
しばし茫然と黒い海面を見つめていたが、ふいに女の言葉が脳内で像を結び、俺は猛然と岸へ漕ぎ出した。
──ジ・キ・ニ・ク・ル・ニ・ゲ・テ。
白く丸い月。黒い海。
俺は小さな船を漕ぎ出し、独り夜釣りを楽しんでいた。
ふと、波間に仄白く光る海月が二匹揺蕩っているのが見えた。
──否。それは仰向けに漂う女の白い乳房であった。
臍から下は海に潜っている。目も口もぽかりと開いたままである。水死体にしては美しい。気を失っているのなら、助けないと──。
ゆっくりと女に船を近づけ「可哀想に」と独り言た。
手首を掴んだ刹那、女の眼がキロリと動き、俺を射抜いた。
ギョッとして思わず手を離したが、女は身を翻し俺の両肩をぐい。と掴んだ。
そうして口をパクパクと動かし、何事かを告げると、にぃっと嗤い、弾けるように海中へ潜って行った。
女の下半身は、魚のようであった。
しばし茫然と黒い海面を見つめていたが、ふいに女の言葉が脳内で像を結び、俺は猛然と岸へ漕ぎ出した。
──ジ・キ・ニ・ク・ル・ニ・ゲ・テ。
ホラー
公開:18/05/09 12:44
更新:18/05/11 19:17
更新:18/05/11 19:17
【椿あやか】(旧PN:AYAKA)
◆Twitter:@ayaka_nyaa5
◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
◆お問合せなど御座いましたらTwitterのDM、メールまでお願い申し上げます。
◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
https://note.com/nekometubaki
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