傍らの人③─ドグラ・マグラ

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スカラカチャカポコ♪
「院長大変です、看護婦のY子さんが発病しました!」
「まさか、あのノートを読んだのかね!?」
「ええ、絶対読まないようにと云っておいたのですが、興味本位で読んでしまったようなんです」
おれは婦長の弁明を聞きながら、診察室へと急いだ──。

「お兄さまぁ──アハアハ」
こりゃ駄目だ。
「仕方ない隔離しておけ」
「先生、もう収容する病室がありません」
なんて事だ。
この精神病院には、患者が書いたという「ドグラマグラ」と題した五冊のノートが保管されている。読んだ者の脳を狂わせ、自分を登場人物の一人と思い込んでしまうという。
一号室に収容されているのが元院長の正木博士。二号室には同僚だった若林博士もいる。この調子で、およそ50数名の「呉一郎と呉モヨ子」が収容されているのだ。

今日も時計の鐘の音と共に、一斉に患者達の声が聞こえた。
「アッ、呉青秀!」
チャカポコ チャカポコ♪
ホラー
公開:18/05/07 17:16
更新:18/05/30 17:14

渋谷獏( 東京 )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
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