腕前スケールモデル

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私は人の腕を見れば腕前が見える。
例えば、美容院で。美容師の腕が半分透けていた場合、
「彼の腕前はレベル5だから、もっと腕の良い人にカットしてもらおう。」
そう考え、7割ほど腕が見える美容師を探し、指名した。
このように、人の腕前が知りたいとき、腕が何割見えているかで、手腕が把握できる。
だから、仕事を割り振りは簡単だ。
人の得意不得意が見えるのだから、各々の得意分野を与えればいい。田中には帳簿記入、森には会議の資料作成、山岡には…腕が全然見えないな。草むしりをお願いした。
「すみません。本日、森さんはお休みです。」
「なに、田中。じゃあ、君には資料の作成を…」
「僕には他の仕事が…。」
ええい、困ったな。
周りを見渡しても、腕が半分以上見えない奴ばかり。どいつもこいつも使えない…。
仕方がない。私が作るのが適任だろう!
そう思い腕まくりをした。すると、限りなく透明な自分の腕が見えた。
その他
公開:18/05/04 23:46

moomin

まったくの初心者です。
田舎で暮らす一ショートショートファンです。
少しでも読んでもらえたら、嬉しいです。

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