可哀相なほど

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三番スタジオですれ違った彼女の頬には飛行機雲のような涙の跡があった。

藍で染めたように美しい色をした瞳はいつもの毅然たるものとはとてもではないが似通わず揺蕩っている。

思わず後を追って掴んだ手首が思っていたより細く頼りなく驚いてしまう。

こちらを睨む彼女の顔は可哀相なほど痛々しかった。
青春
公開:18/05/06 09:33

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