六日の菖蒲湯。(むいかのあやめゆ)

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──今日は菖蒲湯だから、日が変わらない内にお風呂に入っちゃいなさい。
──六日の菖蒲じゃ、何の意味もないんだから。

俺は、母の言葉で今日が5月5日、元彼女の誕生日だった事を思い出した。
胸を張れる仕事が出来る様になったら、もう一度やり直そうと思っていたっけ……。

……元気にしているかな?

久しぶりにSNSを開いた。

《皆さま☆沢山のお祝いメッセージありがとうございます。5月5日が誕生日って、昔は男の子みたいで嫌だったけど、こうして皆が覚えていてくれるから今は嬉しいです。
あと、親しい人には報告済みですが、結婚しました♪デキ婚ではありません。誕生日婚です(笑)》


母の言う、『六日の菖蒲』とは時季(タイミング)が合わないと何の意味もない事を表す言葉だそうだ。

彼女の中で俺は完全に過去になっていた。
湯舟に浸かると、お湯と共に涙が溢れた。

日が変わり、菖蒲湯も役目を終えていた。
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公開:18/05/06 00:22
更新:18/05/06 00:26

椿あやか( 猫町。 )

【椿あやか】(旧PN:AYAKA) 
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◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
◆お問合せなど御座いましたらTwitterのDM、メールまでお願い申し上げます。

◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
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